こんにちは、シンです。今日は文芸誌で面白い小説を見つけたのでご紹介します。紹介する小説は高瀬隼子さんの『犬のかたちをしているもの』です。この小説はすばる文芸賞を受賞していて、受賞作として11月号の『すばる』に掲載されています。
この小説を要約するとこんな感じ。
小説の設定はやや突飛ですが、語り口の妙というか著者の文章力の高さでスルスルと読めてしまいます。冒頭ミナシロさんをドトールで紹介されるシーンが好きです。自然な語り口なのですが、すこし冷めた目線がいいです。
この小説は男女関係や妊娠といったテーマのほかにも、東京と地方、仕事といった様々なモチーフが散りばめられていて、その中でもお話のなかで繰り広げられるエピソード、もっというと小話みたいなところが大きな魅力だと感じます。
例えば、郁也との出会いのシーンで彼が帰り際にずっと手を振っているシーンや、会社の同僚の笹本さんが薫の第一印象を話すシーンなどが妙に居酒屋トーク的なリアリティがあって、そこがボディブローのようにじわじわと読者を物語の現実に引き込んでいきます。
本書の主題である身体性というところも、最後のフレーズまできれいに繋がっていてまとまっているように感じます。
この著者は「違和感」を描くのが上手いなと思います。主人公の薫が日常で感じるズレ(それはしばしば、他人との考えのズレ、社会と自分のズレ、感情と身体のズレだったりします)が、第三者的に確かな距離をもって観察される様が素晴らしいです。巻末のインタビューでも語っている通り、この作家の大きな魅力のひとつです。
二作目が楽しみですので、早く発表してほしいです。僕自身は次作も絶対買います。ではではー
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