Quelle Chris『Guns』

こんにちは、シンです。今日はQuelle Chrisさんの『Guns』というアルバムを紹介します。

彼はアメリカのラッパーかつソングライターです。非常にユニークな楽曲が満載でおしゃれなジャズ的な要素あり、ダークで風変わりな雰囲気もある凝ったアルバムです。一言でいうと

創造性豊かなトラックの上に描くアメリカの銃社会の現実

まず音楽的なところでいうとトラックメイキングのセンスが高い!表題曲の『Guns』はあまりに強烈なアルバムの表紙からは想像できないほどおしゃれな作りです。ジャズのピアノフレーズが繰り返されて、『Why, Why, Why』というコーラスが重なって、何とも言えない浮遊感があります。ちょっとケンドリックの『To pimp a butterfly』っぽい感じがします。


かと思えば、低いベース音が終始なり続けて、怪しげ不気味さ漂う『Spray and Pray』やサイコ感強めでトリッキーな『Obamacare』など非常に多彩な引出しを持っていて、多彩で飽きない作りになっています。

彼の歌唱も曲のムードにより使い分けられるのですが、ビートに対して半拍置くような独特なタイム感があり、ユーモアあふれるようなライミングで間違いなく彼のシグネチャー(署名)が存在しています。

そして、歌詞がこれまたすごい。今のアメリカの銃社会がテーマなのですが意見を前面に出すというよりは、銃との『関係性』を打ち出すような表現になっていて、それが逆に凄みが増すような効果を上げています。

おばあちゃんが装填済みの45口径を手袋を入れる箱に保管している。
カードゲームの最中にチャーリーおじさんから弾の込め方を教わった。

アメリカにおいては、銃がなんてことない日常として溶け込んでいて、それが恐怖でも何でもない『単なる風景』として描写され、『Sunday Mass』では昨今の銃乱射事件を羅列していきます。

そして銃に囲まれたアメリカという社会で生きる、ある種自殺をほのめかすようなシリアスな心情も描かれています。

ここから抜け出すまっすぐな一発が必要なだけ

非常に重たくポリティカルな内容を音楽的な楽曲に込めているのも彼自身のパワーを感じますし、『メッセージ』を伝えたいという強い思いをひしひしと感じとることができます。

非常に多面的で中身の濃いアルバムになっていますので、特に音楽が好きな方には自信を持ってお勧めできるアルバムです。必聴です。

ではでは。

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