こんにちはシンです。今日は金原ひとみさんの『アンコンシャス』を紹介します。この小説は新潮一月号に掲載されています。
主人公の茜音と夫を含む三人の男性との物語なのですが、単なる不倫小説ではなく、存在証明くらいまで掘り下がって来る心理描写が実にヒリヒリして良いです。
そして、今回は化粧の描写で始まって、化粧の描写で終わるのですが『ペルソナ』というモチーフも存在していて、それが男性三人との接し方がそれぞれ違うということとリンクし、主人公のつかめなさ/分からなさをさらに浮かび上がらせているように感じました。
恋愛の不毛さを彼女のドライブ感のある筆致で描写すると凄みが出て、かなり好きです。
心身とは別のものが満たされていないこの孤立感は何だ。
自分のことを考えれば考えるほど、真っ暗な谷の底を覗いているような気分になる。
上記のような満たされない心を持ったまま、主人公は原田という第四の男に会いに行くところで物語は終わるのですが、ラストの突き放した描写にシビレます。
リップの形を確認するため形式的に微笑む女。訳も分からず、彼女は準備万端である。
ドライな差し込みのある恋愛小説が好きな方はぜひ一読を。ではではー
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